あのバンド・エイド「Do They Know It’s Christmas ?」では、並み居るポップスターたちを従え(?)、堂々トップバッターを務めたポール・ヤング。今回取り上げるのは、マーヴィン・ゲイのカバーで、彼の出世作となったシングル「Wherever I Lay My Hat(That’s My Home)」です。
「帽子を置いたところが、俺のふるさと」
マーヴィンのオリジナルでは、毎晩お相手が変わるプレイボーイの奔放さがクールに歌われているらしいですが、ポールのカバーでは、ソウルフルに、ひたすら切々と歌い上げられていて、聴けば聴くほど染み入るバラードに仕上がっています。
あのド派手な80年代に、こんな地味な曲、素朴なヴォーカルが、よくも全英1位を獲得したものだと思いますが、この曲のライブ・バージョンを聴くと、英国での彼の人気を思い知らされます。
あのドヨーンとしたイントロが始まった瞬間の大歓声、そして歌が始まると会場全体が大合唱で、サビに差し掛かるとそれは一段とヴォルテージがアップ。オーディエンスの反応の凄さにはびっくりです。
ポールの喉も絶好調。舌足らずな感じが特徴的な彼の歌唱も、ライブではよく伸びる歌声によってダイナミズムが加味され臨場感が抜群。まさにアーティストとオーディエンスのコラボ、感動的な仕上がりです。
このライブ・バージョンは、当時、来日記念にリリースされたミニアルバム「Live Edition」に収録されていましたが、CD化されてるんでしょうかね?
この後、全米でもヒットを飛ばし、世界的なヒットシンガーとなった彼ですが、どこか二流っぽさが漂う、いつまでも垢抜けない感じが彼の魅力、そう言ったら失礼でしょうか。