実は何を隠そう(何も隠していないけど)、学生時代、狂ったようにブラック系の12インチものばかりレンタルしていた時期がありました。
レンタル屋のお姉さんが綺麗な方だったというのもありますが(笑)、本当のきっかけは、友人に連れて行かれたディスコ(今で言う「クラブ」ね)でした。
マ●ラジャとかの、いわゆるハイエナジーとか、ユーロビートがガンガンって感じのところではなく、フロアはフローリング、重低音がなかなか効いていて、客層もちょっとアダルト、騒ぎたい!とかナンパ目的というより、本当にR&Bが好きで集まってる連中って感じで、初めて入ったときはかなり圧倒されました。
もちろん、ターンテーブルにはブラック系しかのっからないわけですが、そこで聴いたナンバーの数々、そのカッコよさといったら・・・ハマりました。
ロジャー・トラウトマンは、ファンクバンド「ZAPP」のリーダーだった人。このバンドの曲も例のディスコでは、たびたび耳にしたけれど、僕の一番印象に残っているのは、ソロで大ヒッしたバラード「I Want to be your Man」です。
この直球タイトルこそ、中学時代にブラック系を食わず嫌いしていた所以なのだけど、このロジャーの曲には、どこかほのぼのとした歌心が感じられて、無条件に好感をいだいたものです。スマートじゃないけれど、この「歌」にはグッときますよ。
ロジャーと言えば「トークボックス」。ザップの曲を印象付けたのもこれ(あまり聴いていないけど)。その不思議な歌声は、機械的なのに時に切なげでもあり、すごく血が通っている印象を与えます。
彼のトークボックス、そのしくみを検索したら「シンセサイザーの音を大音量でならし、その音をホースに通し、そのホースをくわえて歌う」とありました。「ほのぼの」と書いてしまったこの曲、その裏では、そんな凄まじい唱法(奏法?)が駆使されていたとは。
これも青春の一曲。
実はさっき初めて知ったのだけれど、ロジャー、1999年に亡くなっていたんですね。それもかなり悲劇的な形で。
ザップや彼の深いファンではなかったけれど、通りすがりに本当に素晴らしいナンバーと出会うことができました。
合掌。