言い尽くされた表現ですが、メンバーのドラッグ死、レイ・デイビスとの離婚など、紆余曲折を経たクリッシー・ハインドの凛々しさ、優しさが溢れたアルバム「Learning to Crawl」。
このジャケのいでたちそのままの吹っ切れた感じと、シンプルだけど深い世界を感じさせる快作です。
「愛と憎しみは紙一重」というこの曲。
「大好き」と軽々しくは言えないような、ヒンヤリした雰囲気を持つナンバーで、イントロのホントの出だしのピアノの一音から、身が引き締まるような鳥肌感。少ない音数の空間に、ヒリヒリした空気が漂っています。クリッシーの歌声が穏やかなのが、また何とも言えないですね。
今で言うドメスティック・ヴァイオレンスを歌った曲だそうで、3コーラス目にドキッとする結末をを迎えるストーリーを持ちます。オリジナルはパースエイダースというブラック系グループのヒット。70年代初頭といえば、マーヴィン・ゲイの「What's Goin' On」がすぐ思い浮かびますが、R&B系のアーティストがラブソングばかりじゃなく、色んな題材を歌っていた時期なんでしょうか。
ニュースを見てると、最近、この歌の世界を地で行くような事件が多くてゾッとします。