個人的に、洋楽と出会った青春時代をちょこっと振り返るとき、隣の兄の部屋から流れてきた「サタデーナイトフィーバー」のサントラや、このABBAのサウンドが真っ先に頭の中に蘇る。
日本のいわゆるニューミュージックばかり聴いていた自分にとって、とくに兄の持っていたABBAのベスト盤、そのキラキラとまぶしい楽曲群には胸が躍った。
「悲しきフェルナンド」は、英国で6週間にもわたってチャートのトップに君臨したほか、欧州各国で大ヒットし、米国ビルボードでも最高13位という記録が残っている。
今思えば、スウェーデンの彼らがなぜ南米のフォルクローレを?と不思議に感じる、「コンドルは飛んで行く」的サウンド&メロディー。アンデスの山並みにこだまするような歌声、「ダンシングクイーン」のようなファンタジック系とはまた違った魅力をみせつける。
歌の世界はよく分からないが、直球なラブソングではないことは確か。フェルナンドは、どうも祖国の自由のために戦った戦士という設定のようだ。歌に出てくる「リオ・グランデ」は、検索すると、米国のコロラド州、ニューメキシコ州、テキサス州を流れメキシコ湾に注ぐ川。
聴き手のそれぞれの感性で、音や歌声の向こう側に色んな風景を思い浮かべることができる、そんな一曲だ。