父親の死が重く影を落とした前作『The Soul Cages』で、内省的で苦渋に満ちた表情を見せたスティングが、解き放たれたかのように、軽やかに、多彩な10編の物語を語ったアルバム『Ten Summoner's Tales 』。
休日の今日は、冬を前に、家の中の障子を貼り替えることにした。
実は、いくら障子を貼り替えても、子どもたちがすぐに穴をあけてしまうので、この夏からは、障子戸そのものを外して過ごしてきたのだが、冬が近づくと、これがあるのとないのでは、部屋の温度は大違いなのだ。
まずは、作業がはかどるようなBGM選びということでCD棚を見渡すと、多彩で適度なポップさを持つ、スティングのこのアルバムに手が伸びた。
アルバムタイトルの『Ten Summoner's Tales 』は、ライナーによると、有名な「カンタベリー物語」の一節と、スティングの本名、ゴードン・サムナーに引っ掛けているらしい。
そんな文学的なジョークや皮肉、遊び心が随所に散りばめられたこのアルバムで、個人的に最もリラックスして聴けてしまうのが、2曲目の「Love is Stronger than Justice」なのだ。
「七人の兄弟の話をお聞かせしよう」と歌い出されるこの曲は、西部劇映画「荒野の七人」をパロディ化したもので、スティングならではのストーリーテラーぶりがいかんなく発揮されている。
サウンド面でも、出だしからしばらくはサスペンスチック(こんな言葉があるのか分からんが)な曲調が、サビ以降でマカロニウェスタン調が強調されて、一気にコミカルな雰囲気に包まれるのが面白い。
『Nothing Like the Sun』で新たにファンになった方々も、重苦しい『The Soul Cages』にはさぞ戸惑ったと思うが、この『Ten Summoner's Tales』の充実ぶり、開放感には、ホッとしたのではなかろうか。
本日の障子貼り作業は、このアルバムをBGMに、サクサクと順調に終了・・・といいたいところだが、たまにやると意外に手間がかかるこの作業。予定分を終了できなかった。
次回はスタカンの『Our Favorite Shop』あたりを使ってみようか。